VOL33  番外編  バトル派遣添乗員!
(u_uさんから寄稿いただきました)


u_uの添乗日記から

ツアコンを大きく分類すると、旅行社の社員と、プロ添と呼ばれる派遣ツアコンがいる。
そしてほとんどの場合が後者である。
(詳しく知りたい方は、どこかツアコンさんのHPで見てきてください。ああ、無責任)
派遣の場合、いくつもの旅行社のツアーに出る。u_uもその1人である。


ツアコンNとの攻防

北海道の2台口のツアーが入った。添乗員は2人である。
 (2台口 : バス2台が一緒に行動するツアー)
チーフ(主任添乗員)でとしか聞いていなかったが、旅行社に行くと、なんと別の派遣会社の人と一緒だと言う。
えええ! そんなの初めてや〜。 いやな予感・・・

そして彼女はやって来た。すでに事情を聞いているらしく、席につくなり
「なんで、この人がチーフなの?」「この人の会社、好きじゃないし・・・」
むっかぁぁぁ! なんやのこいつ・・・
彼女の名前はN、推定年齢35歳。転職ツアコンだ。
担当者が慌てて、「いや、u_uさんの方が長いから・・・」と弁解した。
Nがだるそうに言う。「私、サブなんてごめんやわ。」
「ああ、じゃあ、Nさん、チーフでもいいけど・・・」  (ー_ー)ヌ すがるような目で見られていた。
待て、こいつの下で5日はいやだ。こき使われるやん。
「別行動したらどうですか?」と訊くと、それはダメだと言う。
「じゃ、チーフで行きますんで。」
 u_u、すかさず言っとく。 この瞬間に戦いの火蓋は切られたのだろう。 ピリピリした空気の中、打ち合わせは終わった。
帰り際、担当者に呼び止められ、「とにかく我慢してうまくやって来て」と言われた。

翌日、空港に着き、受付カウンターを借りる手続きをしていると、Nがやって来た。
「おはよう。よろしく。」
なんだ、愛想いいやん。
「航空券貸して下さい。搭乗券に換えて来ますね。」
あらま。うまくやれるかも〜。
ところが、なかなかカウンターに戻ってこない。
もうすぐ受付やん!
飛行機の座席割りをする時間がない!
探しても見当たらない。どうなってるの〜?
受付開始5分前にNは戻ってきた。
「はい、そっちの搭乗券。」 自分の分は座席割りを終えている。
くっそー、やられた。 ああ、文句いってる暇はない。
受け取った搭乗券を確認、席割り〜。
!!!!!!! こいつ、しばくぞ !!!!!!!
なんと窓際を全部持って行かれている。嘘でしょおおお!
ジャンボ機使用なので、3・4・3の横10席ならび。 お客さんは窓際を希望する人が多いが、そういうわけにはいかないので、できる限り往復で調整するのである。
グループの人数もバラバラなので、けっこう苦労するのだ。

すでにお客さんが並んでいる。事前に知らせた号車ごとに受付することになっていた。 カウンターの後ろで、急いで搭乗券をセッティングしていると、 「1号車のお客様は、まだ添乗員が用意できておりません。2号車から受付致します。」とNの声。
む〜〜〜〜っ! しかし今は我慢だ。
とにかく急ごう。 なんとか5分遅れで受付を開始したが、初めの印象悪すぎやん。
こうして、ツアーは始まった。

ツアー中、二度とチケット類は渡さない。この人やりすぎやん。こんなのが5日間か・・ 正直なところ、かなり弱気になっているu_u。
第一、歳も上だし貫禄あるし・・・ お客さんから見たら、Nの方がチーフに見えるはず。

('_`)ウゥ 千歳空港到着。
ぁぁ期待も虚しく、若いガイドさん2人。 ここでベテランガイドさんでも来てくれてたらマシだったのに・・・ バスに誘導。車外で乗務員と挨拶。
「チーフ添乗員のu_uです。」キッパリ言っておく。 詳しい打ち合わせは昼食でということで東に向けてバス出発。
1時間ほどで昼食場所。打ち合わせ中、聞くと2号車のガイドは5日間は初めてだと言う。
「一人前に案内してくれたらそれでいいから」とNがプレッシャーをかける。 ヾ(・・;)ォィォィ
ひととおり終わったところでNが言った。
「修正があれば指示しますので。」 ・・・・・ なんであんたが?

1日目、層雲峡の観光を済ませ、ホテルへ。
北海道だけなのだが、添乗員の宿泊は相部屋になることが多い。 普段1人なので気を遣うこともあるけど、情報交換や雑談で楽しい事もある。 そして、その日は4人同室だった。Nと2人よりずっといい。
到着後、ひとまず荷物を置きに部屋に入ると、Nが何やら書き始めた。
「神経が疲れていますので、1番奥で寝かせて頂きます。大声でしゃべるのは控えてください。」
そう書いたメモをテーブルに。 
嘘やろ〜。そんなことする人見たことないぞ!
いややな・・・他の人、絶対怒るわ〜。

夕食後、部屋に戻ると全員揃っていた。他の2人はどちらも東京の人でおとなしい感じだった。
それぞれ報告書や翌日の準備などを無言でやっているとNがお風呂へ向かった。 ドアが閉まった瞬間、ため息が3つ。
「すごい人だね」
「大変ね」と声をかけられた。
「今日から5日間なの・・・」u_uの言葉に、もはや応答はなかった。

ハードスケジュールながらも見どころいっぱいの2日目。
観光は順調に進んでいた。
午後、車内販売が1つ。なんとそれも、二ポポ人形。 。。(o_ _)oバタ
これはアイヌの人たちが作る(とされている)木彫りの人形。

車内販売とは、旅行社が契約店と連携して、ツアーのお客さんに物販し、売上をあげる為のもの。 旅行社にとっても、大事な収入源である。
Nの所属する派遣会社のメインの取引旅行社は、やたらこれが多いのだが なんと添乗員ごとに売上グラフがあるとか聞いたことがある。 
恐ろしい。 u_uの会社も、かなり昔、取引があったらしいが、売上の悪さを指摘され 当時の支店長が、「うちのツアコンは売り子じゃない!」と大喧嘩して以来、仕事はない。
ことの善し悪しは別として、助かる話である。

話は戻って、今回の車内販売。
車内で説明し、注文を取る。3つ売れた。よかった。 屈斜路湖の展望台でNが寄って来た。 
「いくつ売ったの?」
「3つ。」
「はぁぁ?3つ〜?だめな人ね!」
40人のお客さん相手に、11個も売ったらしい。 す、すごい。  ああ、完敗である。無念。 。・゜゜ '゜(*/□\*) '゜゜゜・。うわぁ〜ん。

その後、摩周湖にて。 こちらのお客のおばちゃん3人が寄って来た。
「なあなあ、添乗さん、あんた新人やの?2号車ばっかりトクしてるやん!」
「そもそも受付から後回しやし、今日も1号車だけお菓子もろて・・・」 お菓子?知らんよ、そんなん。 「あら?お菓子は明日って事だったんですけどね〜。」苦しい弁明。

阿寒湖畔のホテル到着。げ、Nと2人部屋。よし、夕食会場へ行く前に話がある!
「Nさん、今日お菓子を配ったってなんですか?」
「昼食場所でもらったのよ。言えばくれるでしょ?」 それはそうだけど・・・
「だったらね、2台分もらってくれないと不公平でしょう?既にクレーム出てるし。」
「そのクレームは私に?それとも、あなたに?」
さらに得意気に続けるN。
「私はお客様のためにがんばってるの。できない人に合わせる気はないの。」
「2台で1本のツアーなんだから公平にするのは基本でしょ? 私に嫌がらせしてるつもりでも、最終的には旅行社へのクレームになるんだけど?」
「じゃ、そうならないようにしっかりやってね!」
ここで、とうとう切れたu_u。我慢の限界だ。
「Nさん、今度やったらバス乗せないよ。2台くらい1人でやれるんだから。」
「とにかく、ここまでのこと、今から(旅行社の)担当者に電話します。」
「ええ?かっこ悪いことはやめなさいよ〜〜!!」
と いきなり慌てるNを無視して電話を取ると、邪魔して切る。
「みっともないよ!別にここで掛けんでもいいんやで!」
「もうやらないし・・・」 
なぜそんなに弱気になる?

その夜、近くの土産物屋さんに行った。二ポポ人形の販売店である。 この店の人とは顔なじみ、コーヒーをごちそうになりながら、売上の報告。
「ねえ、このツアーの平均って何個位、売ってるん?」
「1台平均、5個くらいかな〜。。」 
 ぬ。。。 やっぱりあかんやん、u_u。
「2号車の11個ってすごい?」
「うん、すごい。 あ、でも前に13個の時もあった。それが最高。」
そう言って、これまでの集計表を見せてくれた。 (°◇°)~ガーン (°◇°)~ガーン
13個売ったのも、Nだった。。。

3日目、北海道のまんなかを通り、札幌へ向かう。 朝、乗務員さんとの打ち合わせ、Nは来ていない。
「今日も距離長いですね。ガイドさんも適当に休憩しながらやってくださいね。」 というと、2号車のガイドが暗い表情になった。
「昨日、途中で1回、マイクを置いたんです。そしたらNさんが出てきて,ガイドがさぼるみたいなんで、私が・・・って。」
えええ?  どうやら、マイクジャックして色々しゃべっていたらしい。
ドライバーが言う。
「いや、それが、こいつより、よっぽど上手いもんで・・・」
あらら〜。かわいそうに。
1号車のドライバーは笑い転げている。 笑いごとじゃないだろっ!
「今日はマイク離しませんから・・・」 
「う〜ん、がんばってね。」
「はい、u_uさんもね。」 
きつい行程を、よくやってるな〜と感心していたのだが、そんなことがあったとは知らなかった。
厄介な人だ。

十勝平野をぬけ、ラベンダー満開の富良野へ。 この日は平和に進み、札幌へ到着。夜は夕食も含めフリータイムである。 そして、添乗員も1人部屋だし、ここでリフレッシュしないと・・・
札幌泊の時は、たいてい、現地の友達と食事に行く事にしていてその日も一緒に居酒屋に行った。
よし、あと2日、がんばりましょ〜。

4日目、朝1番で小樽、それから南下し函館までの行程。
午前中、またもや車内販売である。今度はアイスクリーム宅配便。
車内販売のプロめ、今度は負けないよ〜。 ガイドさんが北海道の乳製品について熱く語る。ご協力ありがとう。
そして、ニポポの時とは別人のような熱血売り子、u_u。
成果は、12カップで2000円のアイスを30個。 V(*゜ー゜*)vブィブィ♪

昼食場所で、意地悪い顔でNが尋ねてきた。
「売れたの〜?」
「Nさんは?」  
「28個売れたよ。」 (ノ´▽`)ノオオオオッ♪ 2個、勝った!!
正直に悔しさを顔ににじませ、Nは去っていった。

函館といえば夜景。その日ももちろんコースに入っていた。
一旦、ホテルにチェックインして夕食。
食事場所の確認をしているとNが寄って来た。
「ちょっとお願いなんだけど。」
ぬ?お願い? (;¬_¬)
ぁ ゃι ぃ

函館山の夜景を見るには、バスで山に登るか、ロープウェイを使うかである。 この時期、混雑していてバスでは時間がかかる。 お客さんの全員一致の承諾があれば、料金はお客さん負担でロープウェイを使うこともある。
Nのお願いとは、2号車でロープウェイに乗りたい人が20名ほどいたので バスをロープウェイ用とバス登山用に分けたいとのこと。 なぜ、また勝手な事をする? 
すでに希望を聞いたとはどういうことだ?
「一応、1号車の協力がないとできないと言ってあるから・・・」 
なに〜〜? ダメなら、こっちのせいになるのか〜!
そういうことって、先に相談するべきでしょ〜!!
「あのね、うまく人数が合えばいいけど、補助シート使っても1台55人しか乗れないよ。」
このツアー、お客さんは80人である。 合計して、55:25 までなら一応大丈夫だが。
「ちゃんと言えば、そんなに偏らないわよ。」
そりゃそうだけど・・・ むかつくな〜。
結局、夕食時にお客さんに説明、うまく約半数に分かれることになった。

ホテルに戻り部屋に入るとNは、お風呂に行ってるらしく留守だった。 同室になった人がこんな話を。
Nがロープウェイにこだわったのは、寝不足で早く寝たかったかららしい。

5日目・最終日。
函館観光をして、お昼の便で大阪へ。 初めの立ち寄り店で、前日のアイスクリームの発注。
1号車30個、2号車28個 のはずだった。
そこへ、Nがやってきた。
「2号車3つ追加で31個です。」 (°◇°)~ガーン なんやそれ?
んも〜。
この追加の3個、Nの自腹やわ・・・u_uは今でもそう思う。

無事、観光は終わり、函館空港到着。
実は、朝のうちに航空会社に電話して、シートナンバーを聞いている。( ̄― ̄)フフン、 もちろん、Nには言ってない。当然、窓際は1席たりとも渡さない。
空港で搭乗券を引き換え、メモした1号車分を抜く。
席割りに手間取るNと待たされてる2号車のお客さんは、ほっといてこちらは解散。
少し離れたところから見ていると、あることに気が付いた様子。
「Nさんの搭乗券は、預かってま〜す!! あとで渡しますんで!!」 タタタッ ヘ(・_・)ノ

作業を終えて、すごすごとやって来たNには、スペシャルシートをキープしてあげていた。
ゆっくり別れを惜しめるように、お客さんのどまんなかのシートである。
大阪へ戻り、無事解散。

ああ、疲れた・・・ 到着が早かったので、その足で会社へ向かった。 憤りながら、一部始終を語ったのだが、みんな爆笑するばかり。
ほんとに大変だったのに〜〜〜〜〜!!

それにしても、やられっぱなしのツアーだった。 確かにNは「できるツアコン」だったとは思う。
 こちらもムキにならんでもよかったのかも・・・
ほんの少し反省もしてみたが、やっぱり、あんな奴は大嫌いだ。


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